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原炎上

 1987年公開の東映映画。監督は五社英雄。また、1998年には新橋演舞場にて映画と同じく名取裕子の主演で舞台化もされている。そして、2007年には観月ありさ主演でテレビドラマ化された。

 ストーリー…主人公の久乃は明治の終わり、1908年に吉原の中梅楼に遊女として売られた。そこでは借金に縛られた女たちが六年の年季が明けるまで、春をひさいでいた。生まれては苦界、死しては投げ込み寺の世界を生き抜いた女郎と生き抜けなかった女郎の波乱万丈の世界を描いた作品である。

 主なキャスト…上田久乃(若汐~紫太夫)に名取裕子。登場時は19歳。岡山県出身。船乗りだった父親が海難事故を起こし、賠償金の工面のため吉原に売られてきた。一目見たおちかからは「あれ(久乃)は稼ぐようになるよ」と、花魁になる前からその素質を見出されている。花魁として「若汐」の源氏名を名乗り、最初の客といざ事を始める直前に羞恥心から逃げ出し、捕えられて厳しい折檻を受ける。しかし徐々に花魁としての自尊心が芽生え、御職を目指すようになる。

  九重に二宮さよ子。中梅楼の一番花魁(御職)、春の章ヒロイン。主人公の姉女郎。客から逃げ出した若汐を折檻するものの、身を持って客を喜ばせる方法を教えた。本人によると久乃からいい匂いがしているとして気に入っている。一番人気で上物のお得意様から声がかかる。年上ということもあり、姉御肌。自身を「年増女郎」と言っており、年季が明けたあとの人生を考えると寂しさを募らせる。

  吉里に藤真利子。中梅楼の二番花魁、夏の章ヒロイン。九重のあとの御職を継いだが、客に恵まれず借金が多い。株で大損をした野口の金の穴埋めに若汐づてで古島から50円借りるものの、約束を反故にされて半狂乱になる。若汐に妊娠した場合の処置法(堕胎の方法)を教える。

  小花に西川峰子。中梅楼の三番花魁、秋の章ヒロイン。周囲には「徳川家の典医の家系だったが、両親が亡くなったため、帝大の医学部に通う弟のために花魁になった」と吹聴し、弟の写真を肌身離さず持っている。その後、恐らく肺結核で喀血して体調を崩し、御職の座を紫(若汐)に奪われる。その屈辱から半狂乱となる。

  菊川にかたせ梨乃。久乃の先輩女郎、冬の章ヒロイン。久乃と仲が良く、「菊ちゃん」「久ちゃん」と呼び合っている。貧しい家の娘で、女郎暮らしながら白米を食べられると喜び、自身の古着を実家に送っている。「要領が悪く、稼ぎが悪いから」との理由で、女将から言われて品川にある別の遊郭に住み替えした。物語終盤、吉原遊郭では最下層の店が並ぶ羅生門河岸の長屋女郎にまで、身を落としていた。

 他にも、竹中直人、根津甚八、小林稔侍、山村聡、ビートきよし、左とん平、緒方拳など出演者は豪華だ。

くらん

 さくらんは、安野モヨコの漫画作品。映画化され、2007年2月24日に公開された。監督は蜷川実花監督。

 ストーリー…吉原の玉菊屋に連れてこられた8歳の少女はきよ葉と名付けられ、高級花魁で気の強い粧ひに面倒を見られることに。何度も脱走を試みるきよ葉だが粧ひや玉菊屋の清次などに導かれ花魁になることを決意する。17歳になったきよ葉は持って生まれた美貌と気性の強さで一躍売れっ子となる。やがてきよ葉は、お客として来た青年・惣次郎と恋に落ちるが…。

 登場人物…きよ葉(日暮)に土屋アンナ。物語の主人公。禿(かむろ)のときの名前は「とめき」、引込のときは「おりん」、新造のときは「きよ葉」、第二部(花魁)での名は「日暮(ひぐらし)」。

  高尾に木村佳乃。嫉妬深く、情熱的な面がある。光信という間夫がおり、剃刀で相対死にを試みたが自分だけ殺される。しげじという禿を面倒見ており、しげじがきよ葉の弱味を握ったと言った際に、全く弱味ではないにも関わらず「きよ葉の弱味を握るなんてお手柄だね。誰にも言うんじゃないよー いざって時に使うんだ。」と褒めたり、しげじを「しげ」と呼んだり、後輩たちの面倒見が良い。

  惣次郎に成宮寛貴。商家・三松屋の総領息子。元々は三雲の客だが、後にその名代として惣次郎を相手にしたきよ葉の間夫となる。実は遊び人で、遊女屋でのしきたりを知らないふりをしていた。

  倉之助に椎名桔平。武士。花魁道中をする日暮を見初め、客になる。潔い態度の日暮をますます好み、後に馴染みとなる。きよ葉を請け出そうとした。

  粧ひに菅野美穂。禿だった頃のきよ葉の面倒を見、女郎として一人前になるための手練手管を教え花魁になることを決心させた。気が強く根性は悪いが美人で機転が利いてその上、床上手であった為、番付では常に上位3番に入っていた。

  若菊に美波。惚れ込んだ間夫に会いたいがために身揚りで7日も休み、髪も結えないほどに借金がかさんでしまう。きよ葉を妬み、惣次郎ときよ葉を離させようとする。

 他も、遠藤憲一、小泉今日子、夏木マリ、小栗旬も出演している。さらには役名こそないが、エキストラに原作者の安野モヨコとその夫の庵野秀明も出演している。他にエキストラとして忌野清志郎、ガレッジセールのゴリも出演している。

の他の花魁作品

 花宵道中…江戸時代末期の新吉原。囚われの身ながらも地道に働き、間もなく年季明けを迎えようとしていた人気女郎・朝霧は、縁日で半次郎という青年と出会う。幼い頃に母から受けた折檻のつらい記憶から、心を閉ざし空っぽな日々を送っていた朝霧だったが、半次郎に生まれて初めて胸のときめきを感じ、今まで知らなかった女性としての気持ちが徐々に目覚めていく。しかし、過酷な現実が彼女の運命を大きく変えてしまうというラブロマンス作品。

 花魁ノ詩…明治28年、すすきのの遊郭。薄野遊郭花魁の一生を描くミュージカルエンターテイメント短編映画。きよみというきれいな花魁。魅力的で、しかしもの悲しい生命の話、歴史的な物語。

 写楽…若き芸術家たちの恋と野心と情熱の話。江戸時代、北斎、一九、馬琴ら若き芸術家が、江戸の名プロデューサーと謳われた版元、蔦屋重三郎のまわりにいた。その一人歌麿は蔦重の手腕により、天才絵師といわれるまでに育っていた。しかしその頃、江戸庶民文化の興隆に危機感を抱いた老中、松平定信は厳しい弾圧を加えようとしていた。蔦重がその標的となりつつあることを察した歌麿は、言い寄ってきた別の版元へ鞍替えしてしまう。歌麿を失った痛手は蔦重にとって大きかった…

 桜姫…江戸時代後期の歌舞伎狂言作者・四世鶴屋南北による演目「桜姫東文章」をベースにした時代劇。自分を犯した泥棒に心惹(ひ)かれ、高家の娘から遊女となって彼との再会を願う女性を中心に波瀾(はらん)万丈のドラマが動き出す。

 SAYURI…舞台は京都の祇園ながら、アメリカ人のアーサー・ゴールデンが原作を書き、ロブ・マーシャル監督で映画化。その点だけでも、これは日本人にとって興味津々の作品だろう。幼い頃に置屋に売られた千代が、花街で一番の芸者「さゆり」に成長するまでを、豪華絢爛な映像で描いていく。

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